2009413日:アザラシを殺しながら時間を潰す

アザラシの殺戮を初めて目撃したときのことを覚えている。海に浮かぶ氷の上に立ち、猟師が私の目の前で無防備な子アザラシに襲い掛かかるのを恐怖のうちに見た。私は凍りつき、「やめて!」と言葉にならない言葉を何度も何度も繰り返したが、それは何の力も持たなかった。胸の悪くなるリズムでこん棒が振り上げられ、そして振り下ろされ、氷上に血が飛び散った。


"I remember the first time I saw the seal slaughter." c HSI/Plumbly, 04-11-09


氷上からは殺戮の凶暴さ、こん棒の打つ音、アザラシの鳴き声、そして血の匂いがあなたを取り巻く。あなたの感覚は打ちのめされる。何を目にしているのか容易に理解できず、カメラをしっかり構え記録することができる全てだ。けれど、殺戮が行われているそのすぐ傍にいるということは、それがどれほど根拠のないことだとしても、干渉したいという思いを抱かせる。
上空からの観測は違う。殺戮が行われている遥か上空から、猟師が疑いを知らない子アザラシに向かっていくのを、成す術なくレンズを通して観測する。聞こえないと分かっていても、子アザラシに向かって、水の中に逃げるようにと叫ぶ。無力な赤ちゃんアザラシに、更に苦しみを伴う死を与える猟師を罵る。けれど、現場からの距離はあなたの無力さを嫌と言うほど浮き彫りにする。
ほんの数週間前、セント・ローレンス湾の氷上に降り立った我々は、生命に取り囲まれていた。母アザラシと子アザラシは鼻をくっつけ合っていた。子アザラシは母乳を飲んだり、寝たり、氷の上で遊んだりしていた。土曜日、アザラシ保護チームはこれらのアザラシが殺されるのを観測した。殺戮に対する我々の唯一の攻撃手段は、観測のためのハイパワー・カメラだ。
ヘリコプターで近づいてみると、地平線上にアザラシを殺す場所に位置する海老蟹捕獲船が見えた。これらはカナダの猟師だ。彼らは、事実上全ての収入を頼っている魚場が解放されるまで、アザラシを殺しながら時間を潰しているのだ。


This seal's raised hind flipper indicates that he is likely still alive, yet still being
carried--bleeding and suffering--to the boat where he'll be skinned.
c HSI/Plumbly, 04-11-09


彼らは射撃の名手ではない。弾丸は氷の上に散らばり、アザラシのひれ足をかすめたので、子アザラシたちは怖がった。そのうち、弾丸がアザラシに命中し、彼らは氷の上に血を流しながらゆっくりと死んでいく。
1頭のアザラシが海で撃たれた。何とか逃げようと必死でもがいている間にも銃弾が打ち込まれた。終に猟師は彼女を仕留め、ボートの脇に寄り掛かって、デッキまで運ぶために彼女を突き刺した。アザラシの苦痛に満ちた死は、猟師にとって僅か15カナダドルの価値しかない。

また1頭のアザラシが撃たれ、まだ生きている状態で氷の上を引きずられていた。彼は引き裂かれ、アザラシの死骸と血で溢れている小型船の中に、ごみのように放り込まれた。アザラシの死骸が積まれた汚れた小型船の後部の血の中で、生きた子アザラシが動き続けている様子を、上空から数分間撮影した。

また別の子アザラシが撃たれ、負傷し、水の中に落ちた。猟船は彼に近づき、猟師がヤリを持ってかがみこんだ。そして、子アザラシの胸の部分を突き刺し、引き上げた。遥か上空からでも、彼女が痛みに泣き叫んでいるのが見えた。猟師は船の上で彼女を引きずり、皮を剥ぐために彼女をデッキで突き刺した。船の後部では、猟師がアザラシの死骸を海に投げ捨てていた。皮以外は、彼らにとって何の価値もないからだ。

撃たれた1頭のアザラシが海に落ち、血が水中に広がった。猟師はアザラシを見つけるためにこん棒を持って走って行ったが、致命的に傷ついたアザラシは見つからなかった。このように、捕獲数には数えられない残酷な殺戮の犠牲となった命がいくつもある。


The seals are tossed like garbage into small boats. c HSI/Plumbly, 04-11-09


数週間もの間、我々はこれらアザラシの苦しみの生きた証人だ。そして、カナダ政府の公的努力にも関らず、我々の記録はカナダの商業アザラシ猟はこれまでもずっとそうであったように、残酷で不必要で価値のない殺戮であるということを明らかに証明している。

昨日、ついにアザラシ保護チームはこの場を離れた。我々の仕事は始まったばかりだという確信を持って。来春、再びこの殺戮が繰り返されないためには、じっと休んでいる暇はない。

良いニュースは、我々は商業アザラシ猟廃止まであと少しの所にいることだ。

アザラシ商品の市場閉鎖キャンペーンは成功している。予想されたように、多くの漁師は結果的にアザラシ猟に従事することに躊躇っている。アザラシ毛皮のコスト低下のせいで、今年は多くのアザラシが殺されないですんでいる。合衆国全土で、商業アザラシ猟を廃止するために、カナダ産シーフードの購入を控えている。やがて、猟師は主となる収入を確保するために論理的な選択を行い、アザラシ猟師のライセンスを返却し、シーフードの輸出入に携わるようになるだろう。

レベッカ・アルドワース





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